実戦における上段蹴り(ハイキック)の有効性

巷では「上段蹴り(ハイキック)は実戦で使えない」と語る者がいるが、これは非常に言葉足らずで誤解を招く主張である。

確かにルールの無い実戦においては足場が悪く、何かに掴まってバランスを保つことが出来ない状況も想定されるので、そういった場合であれば上段蹴りは使用しづらいかもしれない。

しかし、足場が安定している状況であれば上段蹴りは実戦において非常に有効であり、むしろ上段蹴りをしないことに囚われて中段蹴り(ミドルキック)や下段蹴り(ローキック)しか使わないことは、敵にこちらの攻撃を読まれやすくなる原因となる。

実際、オーストラリアのウェルター級総合格闘家のヴィクター・ライアル(Viktor Lyall)選手はルールの無い実戦におけるハイキックの有効性を示している。


ヴィクター・ライアル選手によるルールの無い実戦でのハイキック
https://fb.watch/mdS-77IVSZ/


また、南フランスの伝統武術であるショソンでは、揺れる船上において壁や手すりに掴まりながら相手をハイキックする。

つまり、足場が悪い状況であったとしても、何かに掴まってバランスを保つことで、上段蹴りを実戦で使用することが出来る。

その他、様々な実戦的状況を想定して護身術の技を競うUltimate Self Defense Championship(アルティメット・セルフ・ディフェンス・チャンピオンシップ)においても、対ナイフ護身術としてのハイキックの有効性が証明されている。


Ultimate Self Defense Championship(USDC)におけるハイキック



結局のところ、実戦において上段蹴りが使用出来るかどうかは個人の練習次第である。

確かに、巷の護身術などでは上段蹴りをリスクの高い技として推奨せず、修業者に練習すらさせないこともしばしばである。

しかし、ヴィクター・ライアル選手のケースなどを見ればわかる通り、日頃からハイキックの練習を重ねていれば、総合格闘技の試合だけでなくルールの無い実戦においても強力なハイキックを使うことが可能なのである。

そして、護身術や格闘技、武術、武道などは一朝一夕で習得出来るものではなく、繰り返し練習を積み重ねることで初めてその技を体に覚えさせ、実戦で使用することが出来るため、真に強くなりたければ「上段蹴り(ハイキック)は実戦で使えない」などという妄言に囚われることなく、むしろ上段蹴りを含めたあらゆる技を貪欲に練習するべきだろう。

また、護身術や武術、武道の指導者も「上段蹴り(ハイキック)は実戦で使えない」などという誤解を招く主張をするべきではなく、それを弟子に押し付けることもすべきではない。

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