伝統派空手の組手とリズム

全日本空手道連盟(全空連)をはじめとした伝統派空手の組手競技では、丹田と膝を使ってリズムを取ることが一般的となっている。

「空手の形には丹田と膝を使ってリズムを取る動きなど無い」という主張もあるが、そもそも形は実戦の雛型ではなく技の習得と鍛練を目的としているので、リズムを取る動きが無いことは当然である。

元々、伝統派空手の組手競技では古くからフェイントを交えた駆け引きが行われており、この頃から丹田と膝を使って相手のリズムを崩す戦術が重要であった。


1963年及び1969年・全日本大会
https://www.youtube.com/watch?v=8kY54hOO_TM




1984年・西村誠司先生(現役選手時代)とデニー選手(インドネシア代表)の組手
https://www.youtube.com/watch?v=_Dgv4iNc0Fo


第31回全国空手道選手権大会(1988年)・日本空手協会



その後、誰がどのようなきっかけで生み出したのかは定かでないが、同じように丹田と膝を使い、フェイントだけでなくリズムも取るスタイルがいつしか組手のスタンダードとなった。

つまり、丹田と膝を使ったリズムは空手や形の問題である以前に、組手競技という実戦を模した試合において、相手より優位に立つために自然発生的に生まれた闘争本能の表れである。

「では、試合以外の実戦でも同じようにリズムを取るのか」という主張もあるが、それはケースバイケースである。

各々の得意な戦術や状況により、リズムを取りたければ取っても良いし、取りたくなければそれでも良い。

足場が悪ければリズムを取ることも出来ないであろうが、そもそもルールのある組手競技とルールの無い実戦を同じ土俵で比べるべきではなく、組手競技とそれ以外の実戦でそれぞれ違う動きをすることは、状況に応じて柔軟な戦い方をするという武術家として当然の姿勢であり、何もおかしなことではない。

組手競技とルールの無い実戦を同じものと考えている短絡的思考の持ち主は、リズムを取ることについて形を根拠に否定する前に、まずは組手競技とルールの無い実戦を両方経験し、空手の動きを語る以前にそれぞれの状況でどのような動きすることが自然な戦術であるかを体感すると良いだろう。

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