襷掛けに関する国際水月塾武術協会の主張

国際水月塾武術協会は襷掛けに関して以下のように主張している。


「普通見られるような口で端をくわえておいて掛ける方法は「女中掛け」、あるいは単に「女掛け」と言って、武士の間では嫌われた。
今、そのような作法が武道においては誤りであることを知る者も少なく、武道人でも平気で女中掛けをしている。
武家には武家の 「男掛け(侍掛け)」 がある。
武道において身につけるものを口にくわえるなどの無作法は言語道断である。」
https://japanbujut.exblog.jp/29186745/


しかし、過去の記事や写真を見ると、国際水月塾武術協会の演武者も「女中掛け」をしており、「女中掛けは武道における誤った作法である」という国際水月塾武術協会の主張そのものが誤りであることがわかる。


襷を「女中掛け」する国際水月塾武術協会の演武者
https://japanbujut.exblog.jp/27288220/
https://japanbujut.exblog.jp/29431527/
https://japanbujut.exblog.jp/29407753/
https://japanbujut.exblog.jp/28752142/
https://japanbujut.exblog.jp/28297131/


このように、国際水月塾武術協会の男性演武者は皆襷を「女中掛け」しており、「男掛け(侍掛け)」などしている者は1人もいないのである。

そもそも、国際水月塾武術協会が「女中掛け」と呼ぶ襷の掛け方には「綾襷(あやだすき)」という正式名称があり、東京国立博物館に所蔵されている重要文化財「腰掛ける巫女」という埴輪にも見られる通り、古代から老若男女を問わず様々な階級の人々が綾襷をしていた。


重要文化財「腰掛ける巫女」
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Seated_Woman_Haniwa.JPG


無論、綾襷を「女中掛け」などと呼称しているのは国際水月塾武術協会だけであり、上述の通り綾襷は女中だけが行う作法ではない。

実際、かつての侍達も当たり前のように綾襷をしていたことが当時の絵図にも描かれており、「武士の間で嫌われた作法である」という国際水月塾武術協会の主張は誤りである。


鹿児島暴徒出陣図(1879年)
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Seinansenso_snou.jpg#mw-jump-to-license

種田政明邸襲撃の絵図
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Repression_of_the_Shinpuren_rebellion.jpg#mw-jump-to-license

桜田門外之変図 蓮田市五郎(1860年)
https://www.lib.pref.ibaraki.jp/guide/shiryou/digital_lib/valuable_m/001051355335/Bibliography.html
https://sakamichi.tokyo/?p=6495


故に、心形刀流剣術や戸田派武甲流薙刀術、柳生心眼流兵法などの古武術各流派においても、綾襷は「武士の作法」として行われている。


心形刀流剣術 【第42回 日本古武道演武大会】
https://www.youtube.com/watch?v=ts4t-Fk4HdA

戸田派武甲流薙刀術の演武
https://www.youtube.com/watch?v=NPR0cF_snbE

柳生心眼流兵法・新田柳心館の襷掛け


また、綾襷は端を口にくわえる以外にも様々な掛け方があり、下記URLで紹介されている3種が一般的な作法である。
https://kitsuke-school.jp/basic/722/


その他、天心流兵法(江戸伝天心流)も襷掛けの作法をブログで紹介しており、国際水月塾武術協会が「男掛け(侍掛け)」と呼称している作法についても、「鎧下の襷掛け」として紹介されている。


たすき掛け - 古武術 天心流
http://tenshinryu.blog.fc2.com/blog-entry-232.html?sp


何故、国際水月塾武術協会が襷掛けに関する誤った情報を広めているのかは定かではないが、仮にも武術団体であるならば、無根拠な誤った主張は早急に撤回するべきであろう。

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