天心流「虹の太刀架け」

「虹の太刀架け」は天心流の抜刀術に属する形であり、「肘捻太刀」とも呼ばれる。

Youtubeの動画などにおいては「虹の橋掛け」という表記も見られる。

新陰流においても、刃を相手に向けて迫る技を「橋掛け」と呼称しており、元々は「はしかかり」という神道流の技である。

新陰流の伝承では、流祖である上泉伊勢守が神道流も学んでいたため、「橋掛け」が新陰流に採り入れられたとされており、天心流にも「橋掛け」の技法が存在することは同流派が新陰流分流であり、同じく神道流由来の技を多く含むことの証であるといえる。


虹の太刀架け(肘捻太刀)





「虹の太刀架け」という名称に関しては、「虹は昔の日本において不吉な象徴であり、形の名称として使用するのは有り得ない」という主張もあるようだが、そもそも昔の日本において虹は吉凶両方の象徴であったため、必ずしも不吉という訳ではない。

実際、中世の日本では虹の見える所に市場を立てていた他、虹が確認された際は陰陽道の天文博士にそれが吉凶どちらの予兆か占わせた。

故に、昔の日本において確かに虹は凶兆の象徴でもあったが、同時に吉兆の象徴でもあり、当時の常識と照らし合わせても形の名称として使うにあたって不自然なことは無い。

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