実戦におけるクラヴ・マガの動き

格闘技大会「巌流島」において、クラヴ・マガのインストラクターであるジャッキー・ゴーシュ選手と、UWF出身の田村潔司選手が対戦した試合は、実戦におけるクラヴ・マガの技の有効性を証明している。


ジャッキー・ゴーシュ選手 対 田村潔司選手
https://www.youtube.com/shorts/sW90bZIcbcw


YouTubeのコメント欄ではゴーシュ選手の動きについて、「試合でクラヴ・マガの技が出ていない」「クラヴ・マガの型(形)通りの動きではない」「ただフィジカルで力任せに戦っているだけ」といった旨の評価が散見されるが、これらのコメントはどれもクラヴ・マガの技や本質を理解できていない素人達の戯言である。

まず大前提として、クラヴ・マガを含めたあらゆる護身術や格闘技、武術などに伝承されている型(形)や技は、実戦の雛形ではない。

型(形)や技は、見た目上の動きをそっくりそのまま実戦で使用するためにあるのではなく、それらを分解・解釈・応用し、実戦で使える正しい術理を身につけるためのトレーニングメソッドである。

クラヴ・マガの技は人間の本能的な条件反射の動きを利用しており、相手の最初の攻撃に対して様々な打撃や組技を連続で浴びせるコンビネーションによって反撃することが特徴の一つである。

田村選手の首相撲や蹴りに対し、ゴーシュ選手はそれを防いで即座にパンチやタックルのコンビネーションで反撃している様子が上記動画を見るとよくわかる。

これはクラヴ・マガの術理をゴーシュ選手が正しく身につけている何よりの証拠であり、ゴーシュ選手の実力がクラヴ・マガのインストラクターのそれに相応しいものであると言える。

クラヴ・マガは護身術であるため、パンチやタックルはもちろんのこと、あらゆる打撃技や組技、関節技、絞め技、武器術など、ルールの無い実戦を想定した様々な技がトレーニングされている。

実際、世界各国で行われているクラヴ・マガのスパーリングでは、総合格闘技と遜色の無いほどの様々な技を見ることができる。


クラヴ・マガのスパーリング


クラヴ・マガをはじめとした格闘術や武術を学んだことのない素人は、形の動きだけを見て全てを知った気になり、誤った知識を得意気にひけらかす者も多いため、我々のように実際に武術や格闘技を学んでいる者からすると迷惑千万である。

クラヴ・マガに関する誤った風評を流布する輩は、まず自らがクラヴ・マガを学び、その理念や術理を正しく習得するところから始めてみてはいかがだろうか。

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